繊細な香りの美しいバラは、古代から「花の女王」と呼ばれて愛されつづけてきました。
ハーブとして用いられるのは、ロザ・ガリカ(Rosa gallica)の交雑でえられたダマスクスローズ(ロサ・ダマスケナ)とセンティフォリアローズ(ロサ・ケンティフォリア)です。
モロッコは、ダマスクスローズとローザ・センティフォリアの生産地として有名で、ローズの精油の最大の供給地でもあります。
モロッコ南部、ワルザザートのエル・ケラア・ムグナでは、毎年5月上旬にバラ祭りが開催されます。
バラは太古の昔から、美容や健康に用いられてきました。
アラブの女性たちは、古代から、薬草を漬けた植物油を上手に使い、美しさを保ってきました。
古代エジプトのクレオパトラも、バラにまつわる逸話を数多く残しています。
クレオパトラは、バラとスミレの香りを加えたスイートアーモンドオイルがお気に入りで、入浴後、このオイルでマッサージをしていたといいます。

ローズを煮出したり、精油を抽出してできたりするローズウォーターも、アラブ地域では昔から使われていました。
『千一夜物語』にも、ローズウォーターが登場します。

また、モロッコなどでは、ローズウォーターをさまざまな形で日常に用いています。

ローズウォーターは食用として販売されていて、料理や飲み物に入れたりします。

ローズの美容効果
バラは美容においても重要な植物で、クリーム、ローション、パック、オードトワレなど、幅広く使用されています。
保湿効果が高く、肌の質を改善し、きめの細かい素肌を作ります。




収れん作用があるバラは、敏感肌や傷んだ肌に適しています。
しみやしわを予防する、アンチエイジング効果も期待できます。
リップやボディケアとしても向いています。




バラの精油は、シャネルの5番など多くの香水に配合されています。
非常に高価で、1リットルで1万~2万ユーロ(10~20万円以上)するといわれています。

ローズの効能
ローズは、月経前のイライラや月経痛、更年期の不快な症状を緩和する働きがあるといわれています。

鎮静作用でも知られ、憂うつな気分を和らげ、明るい気持ちにしてくれます。
また、胃腸の働きを整えるともいわれています。

ローズの特徴
ダマスクスローズやローザ・センティフォリアは落葉性低木。茎に刺と強い剛毛があり、葉は羽状で、ピンクの花をつけます。
原産と生息地
中東が原産で、12世紀に十字軍がヨーロッパにもたらしました。フランス、ギリシャ、スペイン、トルコ、モロッコなどで商業用に栽培されています。
学名:Rosa × damascena、Rosa × centifolia
科名:バラ科
使用部位:花びら、つぼみ
開花時期:5月~7月
収穫時期:開花中





