繊細な香りの美しいバラ、ローズは、古代から「花の女王」と呼ばれて愛されつづけてきました。
ハーブとして用いられるのは、ダマスクスローズ(ロサ・ダマスケナ)とローザ・センティフォリア(ロサ・ケンティフォリア)などです。
モロッコは、ダマスクスローズとローザ・センティフォリアの生産地として有名で、ローズの精油の最大の供給地でもあります。
モロッコ南部、ワルザザートのエル・ケラア・ムグナでは、毎年5月上旬にバラ祭りが開催されます。
ローズは太古の昔から、美容や健康に用いられてきました。
古代エジプトのクレオパトラも、バラにまつわる逸話を数多く残しています。
クレオパトラは、ローズとスミレの香りを加えたスイートアーモンドオイルがお気に入りで、入浴後、このオイルでマッサージをしていたといいます。
ローズを煮出したり、精油を抽出したりしてできるローズウォーターは、『千一夜物語』に登場するほど、昔から知られていました。
モロッコなどでは、ローズウォーターが食用として販売されていて、料理や飲み物などさまざまな形で日常に用いられています。
ローズの特徴
ダマスクスローズは、その名がシリアの首都ダマスカスに由来しており、中東が原産といわれています。13世紀ごろ、十字軍がヨーロッパにもたらしました。
ローザ・センティフォリアは、16世紀にオランダで数種のローズの交配で生まれました。
ダマスクスローズもローザ・センティフォリアも落葉性低木で、茎に刺と強い剛毛があり、葉は羽状で、ピンクの花をつけます。
ダマスクスローズは、モロッコ、トルコ、ブルガリア、インド、イランなどで栽培されており、ローザ・センティフォリアはフランス南部のグラースが産地として有名です。
学名:Rosa × damascena、Rosa × centifolia
科名:バラ科
使用部位:花びら、つぼみ
開花時期:5月~7月
収穫時期:開花中
有効成分
フラボノイド
アントシアニン
タンニン
ビタミンC など
ローズの肌と髪への美容効果
ローズは美容においても重要な植物で、クリーム、ローション、パック、オードトワレなど、幅広く使用されています。
バラの花びら(ローズペタル)は、保湿効果が高く、肌や髪の質を改善し、きめの細かい素肌やつややかな髪を保つとされています。
敏感肌、傷んだ肌と髪を改善し、アンチエイジング効果も期待できます。
ローズペタルは、ポリフェノールの一種であるフラボノイド、アントシアニン、タンニン、それからビタミンCを含み、抗酸化作用が高いのが特徴です。
紫外線や大気汚染により肌や髪、頭皮で発生する活性酸素を除去し、しわやしみ、老化から肌や髪、頭皮を守ります。
ローズに含まれる脂肪酸などの天然オイルは、皮膚や髪、頭皮の表面に皮脂膜を作って水分を保ち、肌を柔らかくなめ滑らかにするのに役立ちます。
ローズには、洗浄作用や収れん作用、抗菌作用があり、ニキビができるのを防ぐといわれています。
さらに、抗炎症作用により、乾癬などの皮膚の病気を治すことでも知られています。
鎮静作用もあります。
ローズの肌と髪への使い方
ローズは主に、花びらを乾燥させたローズペタル、ローズウォーター、精油という形で販売されています。
花びら(ローズペタル)のドライハーブは、ハーブティとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
ローズは次のような美容効果が期待できます。
毛穴の汚れを落とします
ローズペタルのインフュージョン(煎剤)をコットンなどに浸して、顔をやさしく拭けば、クレンジングになります。
ミルクとバラの花びらのクレンジングローション
スキムミルクとローズとラベンダーの拭き取りローション
乾燥から肌を守り保湿します
モロッコ秘伝の手作りガスール
アルガンオイルとバラの花びらの氷マッサージ
ローズとラベンダーのインフュージョン入浴剤
ローズのボディローション
なめらかな肌にします
コーヒーとローズとアルガンオイルのボディスクラブ
アーモンドプードルとオートミールのボディスクラブ
しわを軽減します
顔と唇を自然な色にします
ローズペタルのインフュージョン(煎剤)を唇に軽くたたくようにつけると、みずみずしく潤いのある色になります。
頭皮を健やかに保ちます
ローズペタルのインフュージョン(煎剤)は、頭皮のかゆみやフケを解消します。また、頭皮の血行を正常にし、毛髪の成長を促進します。
ローズの効能
バラは鎮静作用で知られ、憂うつな気分を和らげ、明るい気持ちにしてくれます。
バラの花びらを入れたお風呂は、神経を落ち着かせ、不安を取り除き、体のデトックスにも役立ちます。安眠効果あるとされています。
赤ブドウとローズとペパーミントの入浴剤
上がり湯につかうバラの香りのボディリンス
また、胃腸の働きを整えることでも知られています。
バラは、月経前のイライラや月経痛、更年期の不快な症状を緩和する働きがあるといわれています。