いつも何気なく入っているお風呂には、免疫力を高める働きがあるといいます。
湯船に浸かり、体内温度が上がることで、免疫機能が向上すると報告されています。
また、蒸気が鼻や喉の粘膜についたウイルスなどを弱める効果も期待できます。
入浴はストレスを緩和し、快眠を促すのにも役立ちます。
不安や自粛ムードが広がるなか、自宅で入浴を楽しみながら、免疫力を上げて元気になれたらいいですよね。
そこで、紹介したいのが、モロッコのお風呂術。
モロッコでは、ハマムという蒸気風呂がよく知られています。ハマムは日本の銭湯に似た公衆浴場。女性はここをエステサロンのように利用します。
旅行も制限されているいま、ちょっとした工夫で、自宅でもハマム気分を体感できますよ。
注意:あくまで感染前の予防策としての情報です。感染の疑いがある場合は、医師にご相談ください。
「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」(首相官邸HP)
ハマムは癒しのエステサロン
お風呂場“エステサロン”の歴史は古く、古代エジプト時代には、「花や果実を浮かべたお湯で入浴し、灰や粘土で体を洗い、植物エキスを加えたオイルでマッサージをする」といった入浴美容がありました。

古代ギリシャでも、芳香植物を使ったオイルマッサージなどの入浴時のお手入れは行われていたそうです。
それを進展させたのが、ローマ帝国。
映画「テルマエ・ロマエ」で描かれていたように、古代ローマで娯楽的な公衆浴場文化が発達したのです。
その入浴文化を独自に進化させたのが、アラブ地域に定着している蒸気風呂ハマムです。
ハマム文化が盛んなモロッコは、その昔、ローマ帝国の領地でした。
いまでも国内には遺跡が残り、首都ラバトのサラにその面影を見ることができます。
むきだしになったフォラム(公共広場)の土台や、商店だったというアーチ型に装飾した建物、神殿跡やメイン道路などが残存しています。
イスラム世界では、都市の建設時に公衆浴場ハマムが必ず建てられ、ハマムの数がその都市の繁栄の証明でした。
ただ、ハマム文化がイスラム圏全域にそのまま残っているわけではないようです。
日本に来日したイラクの女性を「温泉」に誘った際、「お風呂は子どものときからひとりで入る。他人と一緒なんて~」と戸惑っていたので…。
モロッコのハマムは、ワイワイにぎやかで笑いが絶えず、日本の銭湯や温泉の風景にそっくり。
ハマムには、垢すりやマッサージ、キャラメル脱毛(シュガーワックス)などのプロ(エステティシャン)がいて、しっかりお手入れしてもらえます。

マッサージという言葉は、「触れる、触診する」を意味するアラブ語「massah」に由来します。
マッサージに関する最初の学問的文献が登場したのは、紀元前3000年の中国。
また、紀元前2200年にエジプト王の墓に、髪をふり乱して足をマッサージする司教が描かれています。
血液循環を改善し、動脈の緊張を緩和し、幸福感を与えるエンドルフィンを放出する、といったマッサージの効果は、太古の昔から、知られていました。
日本で子どもがお母さんの肩たたきをするように、アラブでも、子どもが祖父母をマッサージしたりするそうです。
モロッコの伝統的なマッサージは、セサミオイルかアルガンオイルを手のひらで少し温め、それを全身にこすりつけるところからはじまります。

長くゆっくりした動きが、次第に短かくなり、揉んだり、押したりの動作に移行します。
西洋のなでるようなマッサージと違い、アラブのマッサージは力強く、まさに日本人好みです。
女性たちがハマムに持参するのは、黒石けん、ガスール、ヘナ(ヘンナ)、アルガンオイル、垢すりミトンなどなど。
これらをタッサ(桶)に入れて出かけます。



写真はモロッコで買った、垢すりミトンと軽石、黒石けん、ガスールです。

家庭の浴室でモロッコのハマム体験
浴室をキャンドルでともし、エッセンシャルオイル入りの入浴剤を加えると、異国情緒ムード満点!
ぬるめのお湯でゆっくり半身浴し、毛穴が開いたら、垢すりミトンで全身垢すり。
汚れを流したら、石けんで洗います。
次はガスールの全身パック。その後は香りのオイルでマッサージを。
ハマムのフルコースは2~3時間ほどかかりますが、メニューはお好みで組み合わせましょう。
全部やらなくちゃ、と気合を入れすぎないのが、ハマムを楽しむ秘訣です。
また、お風呂は入浴剤を使うことで、効果がさらに高まります。
ハーブや食材で作る手作り入浴剤は、心身をリラックスさせるだけでなく、スキンケア効果も期待できます。
美肌を作る入浴剤
モロッコ美容にもいろいろな入浴剤がありますが、ハーブを酢に漬けたハーブビネガーがよく使われるようです。
ハーブビネガーの入浴剤は肌をなめらかにする効果が。
美肌とイライラ緩和にはちみつ入り牛乳風呂
クレオパトラも愛用!牛乳風呂は美容と免疫力に
美肌効果だけでなく、ストレスの緩和も期待できる、甘くミルキーな入浴剤です。

バラとラベンダーの入浴剤
バラとラベンダーの煎じ液を入れたお風呂は、乾燥した肌に潤いを与え、全身をリラックスさせる効果が期待できます。
リラックスと美肌に!バラとラベンダーの入浴剤

なめらかな肌を作るハーブビネガーの入浴剤
ハーブを酢に漬けたハーブビネガーの入浴剤です。

血行を促進するハーブビネガーの入浴剤
赤ブドウの葉とビターオレンジの葉に、バラの花びら、ミントを加えたハーブ入浴は、血行を促進し、元気回復に。

米ぬかとオートミールの手作り入浴剤で潤い肌に
糠とオートミールの入浴剤は、しっとり肌に仕上げます。

アルガンオイルとハーブのお風呂で血行を促進
アルガンオイル、ラベンダー、ローズマリーで作る、血行を促進して疲れを癒す入浴剤です。

入浴後のボディケアに
入浴後は、香りのいいボディローションを。快い睡眠につながります。
上がり湯に使うバラの香りのボディリンス
バラの花びらをスイートアーモンドオイルに漬けたリンスです。

疲れを癒すバラとオレンジ花のボディローション
疲れやストレスも癒すボディローションです。

モロッコ風のお風呂で、少しでも明るい気持ちに!

