黒オリーブが主原料のモロッコのサボンノワールとは?

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モロッコへ行ったらぜひ試してみたいのがサボンノワール。

オリーブオイルと黒オリーブの実を主原料としたペースト状の黒い石けんで、モロッコ美容の伝統的な基本アイテムです。

サボンノワールは特に、ハマム(蒸気風呂)でのスクラブに欠かせない石けん。毛穴の汚れや古い角質を取り除き、柔らかくなめらかな肌をよみがえらせる優れものです。

日本での知名度はまだ低いのすが、ヨーロッパなどではナチュラル石けんとして注目されています。

今回はモロッコのサボンノワールについて紹介します。

モロッコの黒石けん”サボンノワール”とは?

サボンノワールのはじまりは、3000年前にシリアで発明された石けん。オリーブオイルと月桂樹を原料に手作りされた自然石けんは、アラビア語で月桂樹を意味する「ガール」と呼ばれていました。

この頃からシリア第二の都市アレッポでこの石けんの製造されはじめ、やがて「アレッポの石けん」として各地に広がっていきました。アレッポの石けんは、石けんのルーツといわれています。

シリアのアレッポ石けんで全身しっとり肌に
フランスのマルセイユ石けんの原型といわれるシリアのアレッポ石けん。オリーブオイルとローリエの石けんはもともと皮膚病用だったこともあり、とてもマイルド。美肌効果もばつぐんです。シリアの女性たちは、石けんの泡をパックにするそうです。駆虫剤にも。

モロッコにもこのアレッポの石けんとその製造技術が伝わります。

しばらくして、モロッコでは、シリアの石けんを基本にして、オリジナルの石けん作りがはじまりました。

そして誕生したのが、「ビルディ」と呼ばれる黒石けん、サボンノワールです。

モロッコのサボンノワールは、オリーブオイルとつぶした黒オリーブの実、塩、カリウムを原料にした黒っぽいペースト状の石けんです。

黒オリーブは、緑のオリーブに比べてタンニンとビタミンEを多く含み、より強い抗酸化作用を有しています。

緑のオリーブでも作られていて、サボンノワールは使うオリーブの色によって、緑がかった黒だったり、ブラウンがかった黒だったり、微妙にカラーが違います。

サボンノワールに使われるカリウムは、野菜を焼いたときに出る灰を水に漬けて作った植物性カカリウムです。

それから、スクラブの効果を高めるために塩を加えます。

サボンノワールはもともと、ハマムでスクラブ(あかすり)をするための石けんで、いまでもハマムでは。あかすりの習慣が残っています。

サボンノワールの効能と使い方は?

オリーブオイルとオリーブの実を原料にしたサボンノワールは、ビタミンEやポリフェノールなどを含み、汚れを落とすだけでなく、美肌効果にも優れています。

オリーブの効能と使い方|美容効果のあるハーブや植物
モロッコ美容で使う植物を紹介。健康にも美容にも優れるオリーブ。オリーブオイルはオレイン酸やスクワランを含み、肌や髪になじみやすく、乾燥を防ぎ、保湿してうるおいを保ちます。ビタミンEなど老化を遅くする成分も豊富。葉には殺菌作用があります。

サボンノワールは、毛穴の汚れと古い角質を取り除き、うるおいを与え、柔らかくなめらかな肌に仕上げます。

この石けんは、すべてのタイプの肌質に向き、全身にも顔にも使うことができます。

 

蒸気風呂ハマムでのサボンノワールとカッサ(あかすり手袋)のスクラブは、まるで儀式のようにモロッコの伝統文化のひとつになっています。

ストレス解消と美肌作りにモロッコ蒸気風呂ハマム
美容大国モロッコの蒸気風呂ハマムは湿度の高いサウナのようなお風呂。日本の銭湯に近く、エステサロンを兼ねた心身の癒しの場です。ストレスを緩和し、元気を回復させるモロッコ流入浴法を紹介。入浴後のボディケアにおすすめのハーブローションの作り方も。

この黒っぽいペーストの石けんは、水を混ぜるとクリーミーになりますが、ほとんど泡立ちません。

ハマムの蒸気で肌がしっとりしたら、サボンノワールの出番です。

サボンノワールを全身につけて、まず体を洗います。

数分そのままにして、それから、あかすり手袋かへちまのスポンジでスクラブします。

終わったら、シャワーで全身のサボンノワールを流します。

ハマムにはあかすりを行う職人がいて、あかすりコースを選べば(有料です)、徹底的にスクラブしてもらえます。

 

サボンノワールはスーク(市場)で購入でき、量り売りが一般的。

首都ラバトのスークで売っていたサボンノワール(写真上・2010年撮影)は、やや無造作な陳列でしたが、アルガンオイル入りで、1㎏20DH(約220円)でした。

ビニール袋に入れてくれるので、日本まで持ち帰るのであれば、プラスチックの容器などを準備したほうがいいかもしれません。

サボンノワールは普通、その名の通り「黒い」のですが、スークで「青」と「赤」の石けんを見つけました。

「青」はラベンダー、「赤」はジャスミンローズをベースにしているとのこと。
その他、アロエベラ入りもありました。

これらハーブなどの植物を混ぜ込んだサボンノワールは、フェイスケアやヘアケア用で、1kg170DH前後(約1900円)でした。

サボンノワールのボディケア

さて、日本ではまだ容易には手に入りませんが、サボンノワールを使ったボディケアを紹介します。

サボンノワールとガスールの洗浄パック

ガスールを混ぜて作る強力洗浄パックです。

 このレシピの材料 

サボンノワール … 大さじ1
ガスール … 大さじ2
レモン … 1個

 作り方 

  1. レモンをしぼります。
  2. ガスールは水を加え、柔らかくしておきます。
  3. ガスール、レモン汁、サボンノワールを混ぜ合わせ、クリーム状にします。

 使い方 

洗顔後の顔にこれをぬり、10~15分パックし、ぬるま湯で流します。

週1回ぐらい、このパックをするのがおすすめです。

モロッコ流サボンノワールの全身ケア

休日に試してみたい、全身パック。

モロッコ美容のボディケア、ゴマージュ、洗浄、栄養および水分補給が基本。
サボンノワールと垢すり手袋でゴマージュし、シアバターでパックします。

シアバターは、細胞を再生し、肌の新陳代謝を高め、皮脂膜を再構築する働きがあるといわれています。

 このレシピの材料 

サボンノワール … 適量
シアバター … 適量
垢すり手袋

 使い方 

  1. 顔とボディにサボンノワールをつけ、10分そのままにします。
  2. 熱いお湯で湿らせた垢すり手袋で垢すりをして、老化した古い皮膚を除去します。
  3. 血液循環を良くするように、心臓に向けてこすります。足の裏、耳の裏も忘れずに。
  4. 終わったら、ぬるま湯で全身をすすぎ、タオルで全身をふきます。
  5. 湯煎して柔らかくしたシアバターを、全身と顔にマッサージしながらつけていきます。
  6. シアバターがすべて浸透するまで、15分そのままにします。

サボンノワールのシェービング

サボンノワールは、髭剃りにも使われます。
ピーリング効果があり、自然な仕上がりに。

1週間に2度行うのがおすすめです。

伝統的なアフターシェイブローションは、ムスクとヘリオトロープのローション。
もしくは、オリエンタル・ベチバーが用いられるそうです。

 使い方 

  1. 髭剃りブラシで黒石けんを泡立て、首と顔につけます。
  2. 泡をとるように、カミソリで髭をそっていきます。

間違って傷をつけてしまったら、ミョウバンでお手当てを。