「ハーブの女王」とも呼ばれるラベンダーは、古くから香料や医療に使われてきました。
ラベンダーの名は、ラテン語で「洗う」を意味する「lavare」に由来します。
古代ギリシャ人や古代ローマ人は、ラベンダーが体と心を洗浄するのに役立つと信じ、このハーブを湯船に入れていたといいます。
古代エジプトでは、ミイラにする過程でラベンダーが使われました。王ツタンカーメンの墓から3000年を経て見つかったラベンダーは、かすかに香りが残っていたそうです。
ラベンダーはさまざまな薬効があると信じられ、数々の症状に用いられていました。
ラベンダーが薬効植物であることは、古代ローマの医師ディオスコリデスが「薬物誌」に記しています。
ラベンダーの効能の多くはすでに科学的に実証されており、不確かな点については現在も研究がつづいています。
ラベンダーは、不眠、不安、頭痛、抜け毛、ニキビ、やけど、湿疹や乾癬などの皮膚トラブル、傷、精神的な病に有効であることがわかっています。
また、ラベンダーの香りは防虫効果があることも証明されています。
中世の北イングランド地方では、洗濯をする女性たちをラベンダーと呼んでいたそうです。なぜなら、ラベンダーはシーツ類の虫除けになるといい伝えられていたため、このハーブでシーツ類を洗って香りをつけるのが習慣だったからです。
ラベンダーは、花をハーブティーとして飲んだり、植物油につけてインフューズドオイルを作ったりして、使うことができます。
また、ラベンダーの精油は、アロマテラピーの原点ともいえる重要な精油で、世界中の人に愛されています。
ラベンダーの特徴
ラベンダーは、フランス、スペイン、イタリアといった地中海地方が原産ですが、現在では世界中で栽培されています。
ラベンダーは、日照時間の長い、水はけのよい石灰質の土壌を好んで生育します。
茎は細く、灰緑色の葉も細長く、高さ50㎝~1mほどに育ち、春から秋にかけて小さく可憐な花を穂状にたくさん咲かせます。
花の色は青紫が一般的ですが、品種によって白やピンクなどさまざまです。
ラベンダーの品種は多く、メディカルハーブとして一般的に用いられるのは、「Lavender angustifolia」です。
学名:Lavandula angustifolia L.
科名:シソ科
使用部位:花
開花時期:6月~8月
収穫時期:夏、開花中
有効成分:
精油(リナロール、酢酸リナリル他)
アントシアニン
ミネラル
タンニン など
ラベンダーの肌と髪への美容効果
ラベンダーの繊細な香りの人気は高く、石けん、クリーム、シャンプー、入浴剤、香水やオーデコロンなどによく使われます。
ラベンダーは肌や髪を健やかに保つ働きでも知られています。
リナロールと酢酸リナリルという2つの抗炎症成分を含むラベンダーは、湿疹、皮膚炎、乾癬、かゆみ、赤みといった皮膚トラブルを緩和します。
ラベンダーは、コラーゲンの生成を促進し、皮膚の組織の再構築プロセスを早める働きがあると報告されています。
その作用のおかげで、傷ついた皮膚を改善し、肌をなめらかにします。
ラベンダーは伝統的にやけどの治療薬でもあり、その効果も研究で示されています。
殺菌作用にも優れ、ニキビをやさしくケアするのにも適しています。
また、ラベンダーは、抜け毛を防ぎ、髪の成長を促進する働きもあります。
オイリーヘアや傷んだ髪、フケ症のケアにも役立ちます。
さらに、ラベンダーの浸剤(インフュージョン)は入浴剤としても利用できます。ラベンダーの入浴は、身体をリラックスさせ、元気にしてくれます。
ラベンダーの肌と髪への使い方
ラベンダーは、花の部分の生かドライハーブ、精油という形で使うことができます。
ラベンダーの花の生かドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
ラベンダーのインフューズドオイルは、荒れた肌、傷、赤み、湿疹や乾癬などの皮膚トラブルの症状を改善するのに役立ちます。
スキンケア
ラベンダーは次のような肌への効果が期待できます。
肌を引き締めます
肌の汚れを除去します
スキムミルクとハーブの拭き取りローション
ハーブのフェイススチームで毛穴ケア
オイリー肌を改善します
血行を促進します
リラックスさせます
ヘアケア
ラベンダーは次のような髪と頭皮への効果が期待できます。
オイリーヘアとオイリー頭皮を改善します
ラベンダーの効能
昔からラベンダーは、不眠や睡眠障害を解消すると信じられており、ラベンダーの花を枕につめて寝ると安眠できるといわれてきました。
実際いくつかの研究で、ラベンダーの香りは眠りの質を高めことが報告されています。
ラベンダーはまた、不安を解消することも実証されています。
ラベンダーは頭痛を和らげる働きもあります。