オリーブは、地中海沿岸が原産といわれ、有史以前から北アフリカにも野生種が自制していました。
オリーブの実、そしてオリーブの果肉を搾りだしてとれるオリーブオイルは、モロッコ料理に欠かせない食材です。
オリーブの実は、オレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸、ビタミン、ポリフェノールの一種のフラボノイドなどを含み、食べておいしいだけでなく、生活習慣病を予防する効果が期待できます。
これらの成分は、肌や髪を健やかに保つためにも有益です。
オリーブの葉には殺菌作用があり、モロッコの原住民族ベルベルの放牧民は、幼いときからひとりで山に入るため、野生のオリーブの葉を使ったケガの治療法を心得ているそうです。
オリーブを使った伝統的な美容アイテムとしてモロッコで最もポピュラーといえるのが、黒オリーブのオイルから作ったクリーム状の黒石けん、サボンノワールです。
モロッコのサボンノワールは、約3000年前にシリアで生まれ、モロッコに渡ったとされています。
シリアではそれ以前から、オリーブオイルを使って石けんを製造しており、その「アレッポの石けん」はいまでも人気です。
オリーブの特徴
オリーブの歴史は古く、紀元前4000年以前から栽培がおこなわれ、シリアからトルコを経て、ギリシャに広まったとされています。紀元前2000年の古代エジプトの王の墓で、オリーブの痕跡が見つかっています。
オリーブオイルは、ギリシャのクレタ島で製造がはじまり、その起源は、紀元前3000年ともいわれています。
オリーブは常緑高木で、幹や枝は硬くしっかりしていて、小さな葉も硬く、緑色の実をつけます。
乾燥した土地によく育ち、現在では、スペイン、イタリアなど、世界各地で栽培されています。
学名:Olea europaea
科名:モクセイ科
使用部位:葉、果実
開花時期:5~6月
収穫時期:10月
有効成分:
オレイン酸・リノール酸
ビタミンE
ポリフェノール類(オレユーロペンなど)
オリーブの肌と髪への美容効果
オリーブの実は、そのまま使うより、果肉を搾ったオリーブオイルのほうがよく用いられます。
オリーブオイルの主成分は不飽和脂肪酸で、そのうち半分以上はオレイン酸です。オレイン酸は、人間の肌の皮脂を構成している脂肪酸のひとつ。そのため、肌や髪、頭皮へのなじみがよく、水分蒸発を抑え、乾燥から守る働きがあります。
同じく不飽和脂肪酸のリノール酸も少量含み、このリノール酸は、肌や髪をやわらかくする作用があります。
オレイン酸以外にも、オリーブオイルは人間の皮脂に存在する成分、スクワレンを含んでいます。スクワレンは皮膚に油脂膜を作ってうるおいを保つ「エモリエント効果」があります。
また、オリーブオイルに含まれるビタミンAは肌のターンオーバーや育毛を促進し、ビタミンEは皮膚の毛細血管の血行を改善することで、肌の若々しさを保ち、髪の毛の成長を助ける働きがあります。
さらに、抗酸化作用を持つポリフェノール類のおかげで、しみやしわを軽減し、老化を遅くする効果が期待できます。
オリーブは実だけでなく、葉にも有効成分が存在します。オリーブ葉のエキスに含まれるオーレユーロペンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化力が強く、抗菌作用があります
すりつぶしたオリーブの葉を傷口につけると、消毒になるといわれています。
オリーブの肌と髪への使い方
オリーブオイルは人の肌の皮脂成分に似ているといわれる植物油で、肌や髪にすばやく浸透し、健やかに改善してくれます。
ハーブを漬けたインフューズドオイルを作るのに、オリーブオイルは適しています。
スキンケア
オリーブオイルは次のような肌への効果が期待できます。
乾燥した肌にうるおいを与えます
血行を促進して皮膚の再生を早めます
オリーブオイルとすりごまのスクラブ
マジョラムとオリーブオイルのセルライト除去マッサージオイル
しみやしわを軽減します
また、炎症やかゆみを抑える効果でも知られています。
ヘアケア
オリーブオイルには次のような髪と頭皮への効果があります
髪と頭皮の乾燥を防ぎます
傷んだ髪を改善します
頭皮の乾燥を防いで抜け毛を減らします
フケを防ぎます
オリーブの効能
オリーブオイルは、オレイン酸などの不飽和脂肪酸が豊富で、動脈硬化や高血圧、心臓病など生活習慣病のリスクを減少させます。
オリーブの葉は昔から、血圧や血糖値を下げる効能で知られていました。
また、この葉に含まれるオーレユーロペンは、強い抗菌・抗ウイルス作用がありことが発見され、インフルエンザなどにも用いられるようになりました。