タトゥーや白髪染めの植物として、日本でも知られるヘナ(ヘンナ)。
ヘナは、葉を乾燥させて粉末にし、ヘアカラーなどの染料として使われます。眉毛やひげ、手の平などにほどこす入れ墨としての使用もよく知られています。
葉の色は、黄緑やグレーかかった緑とさまざまで、モロッコのヘナはオリーブ色を濃くしたような緑色です。
オレンジがかった赤色に染まりますが、染まる色は元の葉の色によって変化します。
モロッコのヘナタトゥーは有名ですね。また、赤い口紅にも使われていました。
古代エジプトの女王クレオパトラはヘナで爪を染め、マニキュアにしていたそうです。
ヘンナには色が染まらないタイプもあり、スキンケアなど日常的には、染まらないヘンナを使うようです。
モロッコのスーク(市場)で、「染まらないヘンナが欲しい」と尋ねたら、店頭に並んでいました。逆に、色の染まるヘンナは奥にあり、店員がごそごそと出してきました。
北アフリカのモロッコやチュニジアでは、スキンケアをはじめ、実にさまざまな使われ方がされています。
ヘナの樹について
ヘナ(学名:Lawsonia inermis L.)はミソハギ科の1メートルほどの丈の低木で、ペルシャや中東のメソポタミア地方が原産といわれています。
乾燥した気候の土地に育ち、エジプト、スーダン、北アフリカ(特にモロッコ南部)、アメリカ、オーストラリアで大量に栽培されています。
ヘナ染めに使用される葉の色は、深緑からオリーブ色までさまざまなグラデーションがあります。
花にも薬効があり、種類により、ピンク、白、黄の色が分かれます。
ヘナの効能は?
ヘナは、古代から医薬品として用いられてきました。
古代ギリシャの植物学者ディオスコリデスは、
「葉は収斂作用があり、かめば口内の潰瘍や創傷を治す。熱を持った腫物の湿布にもなる。煎じた汁は火傷にきく。花を粉砕して酢と一緒に額に塗れば、頭痛が鎮まる。神経痛の湿布にするときは、布にペーストを塗りつけるのがよく、こうすると香りを放つ」
と記述しています。
古代ローマ時代の博物学者プリニウスの『博物誌 植物篇』によると、
ヘナには「葉は胃や子宮の部分に塗る。新しい葉をかめば、頭や口内の潰瘍、腫物などを癒す。煎じた葉は火傷や脱臼によい。花は酢とともに塗れば頭痛を抑える」薬効がある
とのこと。
同じく古代ローマのギリシャ人医学者ガレーノスも、ヘンナの枝や葉に収斂作用があり、煎じ汁は火傷に効くといい、
「乾燥させる働きがあるので、炎症による腫物の手当てに用いられる。口内の創傷にもよい」
と述べています。
ヘナは殺菌や抗真菌、制汗作用などで知られ、熱を下げる働きもあり、解熱用湿布として使われます。
古代ローマ時代には、いい香りがするヘナ油が流行したそうです。ヘナの小さな種子をオリーブオイルに入れて煮込んで作ったヘナ油には、体を温め、こわばった筋肉をほぐし、快い眠りを誘う働きがあるといわれています。
ヘナの美容効果
ヘナはスキンケアにも用いられます。
以下のような効能があります。
スキンケア
弾力を保つ
肌を引き締め、弾力を取り戻し、若々しさをキープします。
乾燥予防
乾燥を防ぎ、みずみずしい肌を守ります。
日焼け対策
紫外線から肌を保護します。
ニキビや湿疹の改善
皮膚病のケアに向いています。
ひび割れ対策
足のひび割れなどには、ヘンナの湿布が効果的です。
ヘアケア
ダメージヘアの修復
傷んだ髪をしっとりなめらか、サラサラにします。
フケ予防
フケを防ぎます。