赤く美しい繊細な文様ヘナタトゥーで幸せを守る

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イスラムの世界では、ジン(精霊)が存在すると信じられています。
良いジンもいるのですが、悪いジンは体調不良や精神的な苦痛などを与えるのだそうです。

この悪戯好きのジンの嫌いなもののひとつがヘンナ(ヘナ)です。

ヘナの美容効果と使い方|モロッコ美容の手作りコスメ
タトゥーや髪染めで知られるヘナは、モロッコ手作り化粧品の材料として欠かせません。肌を引き締め、弾力を与えるスキンケアがあり、紫外線から肌を保護して日焼けを防ぐ作用も。ニキビや湿疹、足のひび割れ、頭痛や潰瘍などを治す医薬品としても使わてます。

そこで、悪いジンを退けるために、ヘンナを日常的に使うそうです。

ジンは湿気の多いジメジメしたところを好んで出没するため、日の当らない部屋や浴室、トイレなどの隅に置きます。
日本人が塩を盛って清めるのに似ていますね。

ヘンナは、ジンの悪い影響を防ぐだけでなく、健康や喜び、美の象徴でもあります。

イスラムの女性たちがヘンナを手足に塗って染めるのも、身を守って、幸せを手に入れるという理由から。

モロッコの観光地に行くと、「ヘンナの入れ墨をしませんか?」と声をかけられることがあります。

手の甲にほどこされる鮮やかなオレンジ色の文様は、その強烈な“赤さ”ゆえ、「おまじないかな?」と思わずにいられません。

”赤”は邪視をはねのける色であり、ヘンナには、自分と周囲の人々を幸せにし、邪気を払うパワーがあるといわれています。

イスラム教では、ヘンナを神聖な植物と崇め、割礼や結婚式、婚約式などあらゆる祭りや儀式に用います。

北アフリカでは、男児が誕生すると、4日目にその赤ちゃんのひじのしわ、手のひらと足の裏、目のふちなどに、ヘンナに水を加えて作ったクリームを少しつける習慣があるそうです。

また、地域によっては、割礼の祝いでもこうした儀式が行われるといいます。

ヘンナは基本的に女性の魔よけに用いられ、女性は手や足に入れ墨をほどこします。

アルジェリアでは、結婚式の1週間前に伝統的な「ヘンナの夜」が行われ、モロッコでは結婚式の前日に、花嫁はヘンナの入れ墨で身を飾ります。

ヘンナの入れ墨は、嫉妬心を退け、家庭内の不運を防ぐといわれ、結婚のときには欠かせない儀式なのです。

ヘンナ入れ墨のスペシャリストが、芸術的で繊細な花柄モチーフを手や足に描いていきます。

また、妊婦は臨月になると、ヘンナで体を洗い清め、姑が妊婦の手足に染付けをして安産を祈願するそうです。

出産後の7日目には、無事に出産できたことを祝って再びヘンナをつけ、この日から通常の服装にもどるのだとか。

ヘンナ入れ墨の文様はレースのように繊細で美しく、動物や鳥、植物をアレンジして組み合わされています。
曲線は「官能」、点線は「安定」、直線は「調和」とそれぞれの形にはメッセージが含まれているそうです。

文様は地域ごとに特色があり、モロッコの人は、「それはフェズの文様ね」と言い当てます。

手描き正式な方法ですが、一本一本線を描くのはとても時間がかかって大変。

フェズでヘンナ入れ墨をしてもらったときは、ヘンナの粉に水とレモン水を混ぜてクリーム状にしたものを、針のない注射器に入れて、フリーハンドで描いていました。
まさに職人技!

ヘンナの入れ墨は、身を守るだけでなく、人を魅了する効果もありまね。

手描きは無理でも、忙しい日常用には、市販の入れ墨パターンが便利です。
ペタっと手の甲につけてヘンナを上塗りするタイプで、リボン状や手の平型のパターンがあり、スーク(市場)で買うことができます。

モロッコでは、手の甲ではなく、手の平を赤く染めた女性に出合うことがあります。

実は、ヘンナには乾燥による荒れやひび割れを防ぐ働きがあり、ヘンナのハンドクリームのように手を染めている人もいるとのこと。

こうした風習は、砂漠に生活をするベドウィンの女性に多く見られ、ヘンナのペーストを塗ることで、皮膚が保護され、防水効果もあるそうです。

 

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