牛乳は、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどを含んだ栄養バランスの良い食品です。ビタミンAとE、乳酸など牛乳に含まれる成分のいくつかは、肌にメリットがあり、現在ではスキンケア製品に配合されています。
牛乳はモロッコ美容の手作りコスメでもポピュラーな食材。なかでも、肌の汚れを落とすクレンジングとして、牛乳やヨーグルトといった乳製品がよく使われます。
牛のミルクではないのですが、太古の昔からミルクはスキンケアに使われてきました。
有名なのは、古代エジプトの最後の女王クレオパトラです。クレオパトラは、美しい素肌と若々しい美貌を保つために、ロバのミルクの入浴を愛したといいます。
ミルクを洗顔に使ったのは、第5代ローマ皇帝ネロの2番目の妻ポッパエア・サビーナ(30~65年)。彼女は、顔のしわを消し、肌の白さを保つために、ロバのミルクで1日7回顔を洗っていたそうです。
牛乳がクレンジングに使われる理由は、アルファヒドロキシ酸(AHA)に分類される乳酸が含まれているから。AHAは、皮膚の古い角質を取り除いて肌のターンオーバーを促す働きがあります。
牛乳には穏やかなピーリング作用が期待できるのですが、ここで注意したいのは、牛乳に美肌効果の研究事例が少なく、科学的根拠が乏しいのです。
ですから、牛乳の肌への効能については、巷にあふれる情報を鵜呑みにしないよう気をつけましょう。牛乳の美肌効果を過信しないで、上手に手作りコスメに取り入れることが大切です。
牛乳の美肌効果に関する科学的証拠は?
信じられている牛乳の美肌効果のうち、次のものは科学的根拠がありません。
・クレンジング効果
・肌にうるおいを与える保湿効果
・肌をしっとりなめらかにする効果
・美白効果
・日焼けや炎症を鎮める効果
牛乳には皮膚の水分を保持する作用はなく、保湿効果を明確に示す研究はありません。それでも、エッセンシャルオイルなどの臨床的に証明された保湿成分を組み合わせると、牛乳の手作りコスメは肌の乾燥を軽減するのに役立ちます。
ヨーグルトやサワークリームに含まれる乳酸菌は、肌を健やかに整える可能性があるという研究が存在します。しかし、牛乳には特にこうした成分があることを示す報告は現在ありません。
市販されている多くの美白化粧品には、牛乳に由来する乳酸が含まれていますが、牛乳の乳酸の美白効果に関する研究結果はまだありません。ポッパエア・サビーナは、肌の白さを保つためにロバのミルクで洗顔したように、牛乳が肌を明るくするという事例は報告されています。
また、長時間日光にさらされた肌を冷たい牛乳で湿布すると、ほてりを鎮めるといわれています。牛乳による炎症や日焼けの治療効果の裏付けはないのですが、冷たい牛乳で作った湿布は、症状を和らげる可能性があるといえます。
牛乳は肌トラブルを引き起こす場合も
牛乳など乳製品の摂取は、ニキビの発生率を高めるといわれています。臨床研究はありませんが、ニキビに牛乳を塗ると、長期的には毛穴が詰まったり、ニキビが発生しやすい部分を刺激したりする可能性があります。
また、乳糖不耐症や牛乳アレルギーがある場合は、かゆみ、発疹、じんましんなどの皮膚反応を引き起こす可能性があります。また、低温殺菌のプロセスを経ていない生乳は、スキンケアとしての使用は避けたほうがいいでしょう。クレンジング、角質除去、または美白成分として生乳の使用を支持する臨床的証拠はありません。
牛乳の美肌効果に関しては、今後の研究調査で変わる可能性があります。
いまのところ科学的根拠は少ないのですが、ロバなど動物のミルクは昔から、日焼け、皮膚の炎症、シミやそばかす、湿疹、乾癬などの民間療法として用いられてきました。
長年愛用されてきた牛乳のスキンケアは、アレルギーの人でなければ、害があるわけではありません。
牛乳は高価でもなく、ほとんどの人の家にある食材です。手軽に手作りコスメの原料として楽しむことができます。
肌の汚れ落としに牛乳の拭き取りローション
毎日のお手入れに使いたい、肌の汚れをやさしく拭き取る牛乳とハーブのローションを紹介します。
牛乳とバラのクレンジングローションで角質ケア
バラの花びらを牛乳で煎じて作るクレンジングローションです。
毛穴ケアに牛乳とはちみつの拭き取りローション
古い角質や毛穴の汚れを拭き取る、牛乳とはちみつのマイルドなローションです。
ベタつく肌にスキムミルクの拭き取りローション
スキムミルク(脱脂粉乳)を使ったハーブのローションは、ベタつきがちな肌にも向くクレンジングです。朝晩、拭き取り化粧水として使います。
豆乳とブルーマロウの化粧水で肌の汚れすっきり
サポニンを含む豆乳を使った拭き取り化粧水。乾燥肌やダメージ肌を改善するブルーマロウと組み合わせることで、うるおいのあるなめらか肌に。