古代エジプトのクレオパトラは、輝かしい肌と驚くほどの美しさでよく知られています。クレオパトラが行っていた数多くの美容法のひとつが、ミルク風呂です。
牛乳などのミルクを温めて、湯船に入れるだけでできるミルク風呂は、自宅でも気軽に試すことができます。
今回は、クレオパトラのミルク風呂レシピを紹介します。
クレオパトラは、肌を柔らかく美しく保つためにミルク風呂を愛用していたといいますが、実際にどのような美容効果があるのでしょうか?
ミルク風呂を愛した古代の王妃たち
ミルクといえばすぐ思いつくのが牛乳。でも、クレオパトラが入浴に使ったというミルクは、ロバのミルクです。ロバのミルクはごく少量しか手に入らないのですが、クレオパトラは毎日の入浴のために、出産後のロバ700頭から搾乳していたそうです。
ロバのミルクの歴史は古くは、紀元前2500年の文献に記されています。古代エジプト時代には、ロバのミルクの乳製品や飲み物、石けんが脚光を浴び、彫刻にも残っています。
古代ローマ人はロバのミルクを贅沢なドリンクとして飲み、古代ギリシャの医師ヒポクラテスは関節痛や傷の治癒などさまざまな病気にロバのミルクを推奨しました。
ロバのミルクの入浴を行っていたのは、クレオパトラだけではなかったようです。
第4代ローマ皇帝クラウディウス1世の妻ウァレリア・メッサリナ(20~48年)は、ロバのミルクに浸したパンのスライスでパックを作っていました。
第5代ローマ皇帝ネロの2番目の妻ポッパエア・サビーナ(30~65年)もミルク風呂のファンでした。彼女は、ロバのミルクだけの浴槽で入浴するだけでなく、顔のしわを消し、肌の白さを保つために、ロバのミルクで1日7回顔を洗っていたそうです。
ロバのミルク風呂はやがてヨーロッパにも伝わります。1600年代後半、ヨーロッパの上流階級の人々は定期的にロバのミルクで入浴したといいます。
1515年にフランス王となったフランソワ1世は、コンスタンティノープル(現在のトルコのイスタンブール)の医師からロバのミルクで治療するように勧められ、ミルク風呂で健康を回復したと伝えられています。
また、ナポレオンの妹ポーリーヌ・ボナパルト(1780~1825)もロバのミルク風呂を楽しんでいました。彼女は使用人に浴場の天井に穴を開けさせ、そこからロバの乳を注ぐようにしたそうです。
ロバのミルクは健康と美容にいいと信じられてきました。ロバのミルクは牛乳と栄養価が似ています。牛乳に美肌のメリットはあるのでしょうか。
ミルク風呂の美容効果は?
数十世紀にもわたって評判だったミルク風呂ですが、実はいまのところ、効果に関する十分な科学的研究は行われていません。ただ、ミルク風呂にはスキンケア効果が期待できることを示する事例が報告されています。
ミルク風呂は、ミルクに含まれる乳脂肪が皮膚に浸透し、肌を柔らかくなめらかにします。入浴後もベタつかず、肌はシルクのような感触がなります。
また、牛乳やロバのミルクには、アルファヒドロキシ酸(AHA)に分類される乳酸が含まれています。AHAは、皮膚の古い角質を取り除いて肌のターンオーバーを促す働きがあります。牛乳などの乳酸のピーリング作用はソフトで穏やですが、肌のきめが整い、透明感のある明るい肌にする可能性もあります。
ミルク風呂は、乳脂肪とタンパク質により皮膚をなめらかにし、乳酸により角質を除去する作用が期待でき、肌の乾燥を軽減するのに役立つといえます。ただ、天然のミルク風呂の保湿効果は一時的で、市販の乳酸入りローションやクリームと同じ効果は得られません。
また、科学的根拠はまだあまりありませんが、ミルクは髪を柔らかくするともいわれています。一部のヘアケア製品には、動物性もしくは植物性のミルクが使われています。
ミルク風呂で忘れてはいけないのが、心理的効果です。ミルク風呂はリラックスしてくつろぐのに最適な方法。乳白色の湯船にゆっくりつかれば、疲れもとれるでしょう。
ハーブをブレンドしたミルク風呂は、香りが良く、贅沢な気分になります。クレオパトラは、ロバのミルクにはちみつを加え、ラベンダーとバラの花びらも添えたそうです。
クレオパトラはロバのミルクでしたが、さまざまな種類のミルクを使うことができます。日常的に使いやすいのは、いつも飲んでいる牛乳ですね。
ビーガンの人は、植物性ミルクを利用することができます。牛乳と栄養価などが似ているわけではありませんが、アーモンドミルクとココナッツミルクは、肌をしっとりさせるオイルが豊富に含まれているため、ミルク風呂に特に向いています。
ミルク風呂の注意点は?
ミルク風呂は肌に優しく安全で、ほとんどの人が問題なく使用できます。
それでも、いくつか注意点があります。
ミルク風呂は肌を柔らかくなめらかにしますが、皮膚トラブルの治療には適しません。
また、乳糖不耐症や牛乳アレルギーがある場合は、かゆみ、発疹、じんましんなどの皮膚反応を引き起こす可能性があります。ミルク風呂は避けたほうがいいでしょう。
ミルク風呂は毎日入ってもかまいませんが、1日1回の入浴で炎症が起きたら、頻度を減らしましょう。ハーブなどをブレンドした場合、ミルク以外の成分が皮膚の炎症を引き起こしている可能性があります。ミルクだけの入浴を試してみてください。
はちみつ入りミルク風呂の作り方
クレオパトラのお気に入りのミルク風呂のレシピは、モロッコ美容の入浴剤としても知られています。
牛乳だけでも美肌効果が期待できますが、保湿力の高いはちみつを加えました。
ハニーミルクの甘い香りに包まれて、のんびりバスタイムを!
このレシピの材料
牛乳 … 1リットル
はちみつ … 大さじ1
所要時間:10分 保存期間:1日
保存容器と用具
計量カップ・スプーン
鍋
作り方
- 鍋に牛乳を入れ、ひと肌に温めます。
- はちみつを加え、よく混ぜます。
使い方
- 温めた牛乳を浴槽に注ぎ、よく混ぜます。
- ゆっくり入浴します。
- 最後に、体をすすぎます。そうすることで、付着した残留物による臭いや刺激を防ぐことができます。
保存方法
1回で使い切りましょう。