和名でセイヨウオトギリソウと呼ばれるセントジョーンズワートは、2000年以上も前から薬効が知られていました。
古代ギリシャ時代の医学者ガレノス、ディオスコリデス、プリニウス、ヒポクラテスは、利尿剤、創傷治癒、月経不順の治療、腸内寄生虫や蛇にかまれた傷を治すのに、セントジョーンズワートをすすめています。
セントジョーンズワートの黄色い花をオリーブオイルに3週間ほど漬けると赤色になるため、古代の人々はこの植物に神秘的な力があると信じていました。悪魔から身を守り、悪霊を追い払うために、この植物を窓際につるしたり、枕の下において寝たりしたそうです。
中世でも、セントジョーンズワートは、傷や痛みを和らげる薬用植物として使われていました。
18~19世紀のヨーロッパでは、不安、うつ、不眠症、むくみ、胃炎の治療薬として、ハーブティーやチンキが作られました。セントジョーンズワートを漬けた植物油(インフューズドオイル)は、痔と炎症の治療に用いられました。
現在でも、喉の痛み、切り傷や擦り傷、やけど、特に神経損傷の薬としても使われ、最近では、うつや気分障害などを改善する価値が認められています。
美容業界では、保湿クリームや荒れた肌の修正クリーム、日焼け後のお手入れ製品、マッサージクリーム、ケガの軟膏などに使用されています。
セントジョーンズワートの特徴
セントジョーンズワートはヨーロッパが原産ですが、アジア、アフリカ、オーストラリア、アメリカ、南米でもみられます。
オトギリソウ科の多年草で、草丈40~80㎝ほどのまっすぐ伸びた茎に、緑の葉と黄色い花をつけ、夏の間に開花します。
石灰質の土地によく育ち、寒さに強く、湿った、草の多い、日当たりのいい場所に自生します。
学名:Hypericum perforatum
科名:オトギリソウ科
別名:セイヨウオトギリソウ
使用部位:葉、花
開花時期:5月~9月
収穫時期:開花中
有効成分:
ヒペリシン(ナフトロジアンスロン類)
ハイパフォリン(フロログルシノール類)
フラボノイド(ケルセチン、ケンペロールなど)
タンニン など
セントジョーンズワートの肌と髪への美容効果
セントジョーンズワートの細胞再生および創傷治癒作用は、中世時代から知られていました。
抗菌作用があり、切り傷やすり傷、やけど、さらに、止血の薬として使われていました。
皮膚トラブルを鎮静させる働きがあり、乾燥肌、敏感肌、傷んだ肌を改善するのに役立ちます。
皮膚の損傷を修復して落ち着かせ、皮脂腺の機能を正常化するといわれています。
セントジョーンズワートのオイルは、筋肉痛などを解消するマッサージに使われます。
セントジョーンズワートの肌と髪への使い方
セントジョーンズワートは、葉と花の部分の生かドライハーブで使うことができます。
セントジョーンズワートの花の生かドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
セントジョーンズワートの花は、オリーブオイルやアルガンオイルに漬けて作ったオイルがよく使われます。
スキンケア
乾燥肌を改善します
日焼けによる水ぶくれや炎症を防ぎ、赤くはれるのを緩和するとされます。
打撲と青あざをやわらげます
セントジョーンズワートの効能
セントジョーンズワートは、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス感染作用が認められています。
鎮痛作用と血行促進作用があり、痛みや頭痛をやわらげ、神経を刺激して調和を取り戻す働きがあるといわれています。
さらに、最近のドイツでの研究により、抗うつ作用があることが報告され、注目されています。
気分の浮き沈み、気分障害、神経疲労、神経症、無気力、やる気のなさ、肥満、記憶障害を緩和するのに役立ちます。
更年期の症状を軽減するのにも有効です。
セントジョーンズワートは医薬品との併用には注意が必要です。妊娠中・授乳中は、専門医のアドバイスのもと使用してください。