ブドウ(Vitis spp)は世界中でおなじみのフルーツ。
モロッコでは、生はもちろんですが、ドライレーズンがエネルギー補給に適し、ハマムの後に理想的としてよく食べられています。
ドライレーズンは、生のレーズンの4倍以上のカロリーがあり、その6割が直接器官に吸収されるといわれています。
ブドウ栽培の歴史は古く、紀元前8000年頃の遺跡から果実類として発見されています。”ブドウ”という言葉が用いられた最古の記録は、メソポタミア文明の楔文字によるものです。
その後、古代エジプトにワインの製法が伝えられ、フェニキア人がカルタゴにてブドウ栽培を発展させ、紀元前1300頃に古代ギリシャ、そして古代ローマへと広がっていきました。
ブドウの種はたくさんありますが、ワイン用と生食用に大きく分けることができます。
ワイン用のブドウは、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)と呼ばれ、ベルネ、ソーヴィニヨン、サルタナなどの品種があります。
ヨーロッパブドウは、野生種のヤマブドウが起源だとみなされれいます。ヤマブドウはヨーロッパの大西洋岸からタジキスタン、ヒマラヤ西部に分布し、いまでも自生し、日本でもみられます。
ブドウ果実の需要が高まり、ヤマブドウが栽培され、品種の交雑によりヨーロッパブドウが生まれました。ヨーロッパブドウは、黒海とイランの間の地域で栽培がはじまり、中近東および中央ヨーロッパに広がったとみられています。
ヨーロッパブドウは、ワインの製造だけでなく、最近では医療や美容において広く利用されています。
ヨーロッパブドウは、フラボノイドやポリフェノールなど、使用抗酸化作用、抗菌作用がある有効成分が豊富です。
2010年、欧州医薬品庁(EMA)のハーブ医薬品委員会(HMPC)は、赤ブドウの葉を慢性静脈不全の治療に使用することを承認しました。
化粧品業界においても、ヨーロッパブドウの抽出エキスは、皮膚軟化剤、保湿剤、乳化剤、着色剤、香料として使用されています。
ヨーロッパブドウは、痩身クリームや、口腔衛生製品、ボディケア製品に配合されています。
日本では、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)の葉を「赤ブドウ葉」もしくは「レッドグレープリーフ」「レッドワインリーフ」と表記しているようです。
赤ブドウの特徴
ブドウ属の植物は数10種あり、コーカサス地方やカスピ海沿岸が原産といわれ、地中海からアジア沿岸にまで広がりました。現代では世界中で栽培されています。温暖もしくは暖かい地域で特によく育ち、水辺の湿った土地を好みます。
ヨーロッパブドウの主な栽培地域は、スペイン、フランス、イタリア、中国、米国、アルゼンチン、チリ、ポルトガル、ルーマニア、オーストラリア、南アフリカ、ギリシャ、ドイツ、ブラジル、ハンガリーなどです。
ブドウはつる性の落葉低木です。巻きひげがあり、種によって違いますが、連続または断続的に葉と対生します。
ヨーロッパブドウは、たくさんの小枝をつけ、茶色の樹皮で覆われた枝の長さは10 ~ 40mに達します。両側に切れ込みがある緑色の葉は、長さと幅が5〜15cmほどで、2~3枚に重なり合って枝に互生します。葉は、秋に紅葉します。
5~6月に黄緑色の花が長さ10~20cmの円錐花序状に咲きます。
果実は楕円形または球形で、大きさはさまざまです。果皮の色は赤、ピンク、濃紫、薄緑と変化に富んでいます。
果実に2〜4個含まれる種子は、楕円形または洋ナシ形で、先端が尖っています。
学名:Vitis vinifera
科名:ブドウ科
使用部位:葉、果実、種子
開花時期:夏
収穫時期:6月~8月
有効成分:
フラボノイド
アンソシアニン
タンニン
フェノール酸
赤ブドウの肌と髪への美容効果
ヨーロッパブドウの葉と種子の抽出エキス、種子から得たグレープシードオイルは、は、肌や髪への刺激・乾燥を抑え、なめらかにするといった効果のあるコンディショニング剤として使用できることが実証されています。
アントシアニンやカテキン、フラボノイドなど、強力な抗酸化作用と抗炎症作用がある有効成分を含み、老化を遅くし、肌と髪を健やかに保つ働きが実証されています。
紫外線から肌を守り、日焼けを防ぐことから、美白作用も認められています。
ヨーロッパブドウの果皮に含まれるポリフェノールの一種のレスベラトロールは、肌のハリと弾力を取り戻し、若さを保つ作用があるといわれています。
ヨーロッパブドウの葉は、静脈強壮作用、血管保護作用、収れん作用があり、血液や体液の循環を促進して老廃物を排出する働きで知られます、そのおかげで、静脈内の軽度の血液循環障害に伴う足のむくみやだるさ、静脈瘤、疲労感、緊張感、痛みを緩和する効果が期待できます。
セルライトのオレンジピールスキンを軽減するのにも役立ちます。
ヨーロッパブドウの種子から抽出されたグレープシードオイルは、肌の細胞間脂質と同じ成分のリノール酸が多く、ビタミンEも含まれ、強力な抗酸化作用があります。
グレープシードオイルは、さらっとした感触で、スキンケアやヘアケアに適し、疲れた足のマッサージオイルとしても向いています。
また、ブドウの樹液は、くすみのないなめらかな肌にするといわれています。
”ブドウの涙”と呼ばれるこの貴重なしずくは、根毛に栄養を与える効果でも知られ、モロッコの先住民族ベルベルの女性たちは、ブドウの樹液をヘアケアに使うそうです。
美しく豊かな髪になることを願って、春に切り取られた新鮮なブドウの若枝からにじみ出る樹液で髪を洗うといいます。
ヨーロッパブドウの肌と髪への使い方
ヨーロッパブドウは、葉と種子の生かドライハーブ、果実、種子から抽出したグレープシードオイルという形で使うことができます。
ヨーロッパブドウの葉のドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
スキンケア
しみを軽減します。
ヘアケア
乾燥して衰えた髪を改善します。
ボディケア
むくんで重い足を軽くします。
血行を促進して冷え性を改善します。
ヘルスケア
歯肉炎と口内炎を緩和します。
ヨーロッパブドウの効能
ヨーロッパブドウは、抗酸化、抗炎症、抗がん、抗菌、抗ウイルス、利尿、心臓保護、肝臓保護、神経保護といった作用が認められています。
ヨーロッパブドウの葉は、血管の保護、血管収縮、血管の弾力性の強化、静脈と毛細血管の刺激、抗浮腫といった作用で知られ、加齢による血管の老化を遅らせるのに役立ちます。
ヨーロッパブドウの葉は、更年期の症状を緩和するハーブです。
