青紫色の花をつけるヤグルマギク(矢車菊)は、太古の昔から愛されてきた芳香植物です。
属名の「Centaurea」は、ギリシャ神話に登場する半人半獣のケンタウロス(Centaurus)族の賢人キロンが、ヤグルマギクで傷を治したことに由来します。
この植物がヨーロッパの穀物畑に自生していることから、英語で「コーンフラワー」と呼ばれています。
ヤグルマギクの歴史は古く、古代エジプトでは、生命と豊穣の象徴とされ、宮殿の壁や床の装飾に描かれました。花は陶器に描かれることが多く、イヤリングやネックレス、ペンダントにも使用されました。
エジプト第8王朝ツタンカーメンの墓で、棺の上に置かれたヤギルマギクの花輪も発見されています。
ヨーロッパでは、ルネサンスのイタリア人画家ボッティチェッリの作品「春」で描かれている春の女神フローラの衣服にヤグルマギクの模様がみられます。
フランス最後の王妃マリー・アントワネットの好んだ花としても知られています。
ヤグルマギクの特徴
中東とヨーロッパが原産ですが、現在では世界中で栽培されています。穀物畑や牧草地などに自生します。
ヤグルマギクは、グレーがかった緑色のうぶ毛におおわれた固い茎をもつ植物です。両端にぎざぎざの切りこみが入った細い線形葉をつけ、茎の先に、花びらが星ように形づくる直径1.5~3cmの美しい青色の花が咲きます。
学名:Centaurea cyanus L.
科名:キク科
別名:コーンフラワー
使用部位:全草
開花時期:8月~9月
収穫時期:開花直前
有効成分:
フラボノイド(アピゲニン、シアニジン、ケルセチン)
アントシアニン
クマリン
フェノールカルボン酸
ミネラル など
ヤグルマギクの肌と髪への美容効果
ヤグルマギクは、抗炎症、収れん作用にすぐれ、皮膚の表面についた汚れを除去し、清潔に保つ働きがあります。
抗酸化作用のあるフラボノイドなどが豊富で、老化を遅くし、乾燥から肌を守り、保湿してなめらかにする効果が期待できます。
血行促進作用のあるクマリンを含むヤグルマギクは、青白い顔色をピンクがかった生き生き肌色によみがえらせる働きも知られています。
ヤグルマギクの花のインフュージョン(浸剤)は洗眼剤に適し、目の緊張、疲れ、腫れを和らげるのに役立ちます。
ヤグルマギクの肌と髪への使い方
ヤグルマギクは、ドライハーブという形で使うことができます。
ヤグルマギクの花のドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
ヤグルマギクのインフュージョンは、日常の化粧水になります。
スキンケア
乾燥した肌に水分を補給します。
目の下のクマを軽減します。
ヘルスケア
充血やまぶたの腫れを減少させる洗浄剤や湿布になります。
ヤグルマギクの効能
ヤグルマギクは、抗菌、抗炎症、抗酸化、利尿、解毒といった作用が認められています。
花には、鎮痒、鎮咳、通経促進といった作用があります。穏やかな下剤作用もあり、便秘を改善するのに役立ちます。
ヤグルマギクの花には、ブルーベリーなどのようにアントシアニンが含まれ、眼精疲労といった目のトラブルを緩和します。
この花のインフュージョン(浸剤)は洗眼剤として、結膜炎や眼瞼炎の治療に使うことができます。
また、花のインフュージョンは、歯ぐきの出血を緩和するマウスウォッシュにもなります。
鎮静効果が期待でき、神経疾患の改善に有効です。
さらに、強壮作用もあり、消化を促進し、肝臓を保護する働きでも知られます。
ヤグルマギクの葉のインフュージョンは、抗リュウマチ作用があります。