サポナリアはソープワートと呼ばれ、その名の通り、石けんのように泡立つ特徴をもっています。
サポナリアの根茎は、水に溶けると石けんのような発泡作用を持つサポニンを含み、細かく刻んだ根茎を水に入れると泡立ちます。
この植物の名、サポナリアは、ラテン語の石けんを意味する「sapo」に由来し、その昔、石けんの代用とされていました。
乾燥させてつぶした根茎か葉を30分沸騰すると、洗浄効果のある石けん液になります。
この石けん液は、マイルドで効果的に汚れを落とすことができるため、美術館の繊細な美術品の洗浄にも使われることがあるそうです。
サポナリアは、ローマ時代から、解熱剤、消毒、駆虫薬、気付け薬、利尿剤、胃痛薬といった医薬品として使われてきました。
中世ヨーロッパでは、胸の痛みを緩和し、梅毒と耳鳴りを治療する薬としてサポナリアが利用されたそうです。
生薬名はサポナリア根で、根茎が主に使用されます。葉も似たような薬効がありますが、根茎に比べて効果は弱いとされます。
サポナリアの根茎に含まれるサポニンは、殺菌作用以外にも、さまざまな薬効を有しています。
サポナリアの特徴
南および中央ヨーロッパ、アジア南西部、シベリヤ西部が原産で、花壇の花として北アメリカに伝わり、現在は多くの国で生育しています。
湿気の多い地域の荒れた地に育ち、林間部の空き地、岩質の場所、河川敷、海岸線近くにみられます。
サポナリアは、長い根茎をもつ、草丈20~100 cmの多年草です。
茎は円筒形で節が多く、やや赤色をしています。大きく長楕円状披針形の葉は対生し,密集して茂ります。
ピンクがかった紫色の5枚の花びらからなる花は、花束のように大きくたくさん咲きます。花は特に夕方、いい匂いを漂わします。
学名:Saponaria officinalis L.
科名:ナデシコ科
別名:サボンソウ、ソープワート
使用部位:根、葉
開花時期:6月~8月
収穫時期:6月~8月、根は春
有効成分(根茎):
サポニン
フラボノイド
ビタミンC
精油
※サポナリアの煎じ液は、目や肌を刺激する可能性があるため、注意して使用してください。
※妊娠中や授乳中の方は使用を避けてください。
サポナリアの肌と髪への美容効果
サポナリアは洗浄力にすぐれ、美容業界では、クレンジング、シャンプー、石けん、歯磨き粉をはじめ、さまざまな泡立つ製品に配合されています。
薄くスライスした根茎、もしくは生の葉から作られた煎じ液は、石けん液としてだけでなく、かゆみ、乾癬、湿疹、ニキビなどさまざまな皮膚の病気を緩和するローションとして使うことができます。
サポナリアの煎じ液は、入浴剤にも適しています。
また、口腔内の真菌感染を治すマウスウォッシュにもなります。
さらに、ヘアシャンプーとしても利用できます。ただ、目に刺激をあたえる可能性があるため、使用する際は注意が必要です。
サポナリアの肌と髪への使い方
サポナリアの煎じ液は、小さじ2の薄くスライスした乾燥根茎に、コップ1杯の水を加え、1晩浸しておくとできあがります。これを少量ずつ使います。
スキンケア
サポナリアは次のような肌への効果が期待できます。
オイリー肌を改善します
ヘアケア
サポナリアは次のような髪と頭皮への効果が期待できます。
ベタつく髪と頭皮を改善します
サポナリアの効能
サポナリアは、抗酸化作用と抗炎症作用、殺菌作用があるといわれています。
乾燥根茎や生の葉に含まれるサポニンは、去痰、利尿、発汗、緩下、胆汁分泌促進作用があります。
サポナリアは煎じ薬の形で、咳、気管支炎、呼吸器官の炎症に使われます。
ただし、服用する場合は特に、作用が強いので医師の指示に従ってください。サポナリアの乾燥根茎の1日の使用量は、1.5g以下とされています。