ジュニパーの和名はセイヨウネズで、75ほどの種類があるといわれますが、ジュニパーとして広く知られているのは、学名「 Juniperus communis L.」です。
アジア、ヨーロッパ、北アメリカでみられ、ヒマラヤに自生し、アフガニスタンから中国南西部の標高3000~4000mにも生息します。
黒紫色の実、ジュニパーベリーは生で食べるのは苦すぎるため、乾燥させて粉末にしたものが、スパイスとして世界中のさまざまな地域の料理に利用されています。
ジュニパーベリーは、アルコール飲料、特にジンの香りづけとして有名です。
ジュニパーは何千年も前から薬用植物として知られ、さまざまな病気の治療に用いられてきました。
ジュニパーベリーは伝統的に、頭痛、関節リュウマチ、痛風の薬とされています。
アメリカ西部の先住民は、ハーブティーにジュニパーベリーに入れていたそうです。
伝統的なトルコ医学では、ジュニパーベリーは、利尿、防腐剤、消化器系のトラブルの治療薬でした。
ヨーロッパのさまざまな国の民間医療では、ジュニパーベリーには抗炎症作用があるというのが定説になっています。
ルーマニアでは昔から、ジュニパーベリーのインフュージョン(煎剤)かアルコールに漬けたチンキを利尿や消毒、さまざまな皮膚トラブルの緩和のために用いています。
こうした伝統医療の効能の多くが科学的に明らかになり、現代医学でもジュニパーが注目されています。
乾燥させたジュニパーベリーから抽出された精油は軽いフルーティーな香りで、エネルギー不足で不安なときや心身が衰弱しているときに、心理面を刺激し、元気にする働きがあります。
ジュニパーの特徴
アメリカ、ヨーロッパ、アジアが原産で、寒冷地域と温帯地域に生息します。不毛な乾燥した石の多い土地にみられ、石灰質の土地によく育ちます。
ジュニパーは常緑樹で、根が非常に強く、トゲのある低木です。樹皮は褐色がかったグレーで、枝が幹の足元からのびています。濃い緑色の細く先のとがった葉は、線状に3~6本まとまってつき、小さな栗色の花が集団になって咲きます。黒っぽいネイビー色の実、ジュニパーベリーをつけます。
学名:Juniperus Communis
科名:ヒノキ科
使用部位:果実、葉、樹皮
開花時期:4月~6月
収穫時期:1年中、樹皮は10月
有効成分(ジュニパーベリー):
ビタミンC
タンニン
フラボノイド(アピゲニン、ケルセチン)
カテキン
フェノール類
リグナン
精油
ジュニパーの肌と髪への美容効果
ジュニパーは実(ジュニパーベリー)、葉、枝などすべてに抗炎症作用や発汗作用などがあり、香りもよいことから、美容面でもよく活用されています。
特に、精油を多く含むジュニパーベリーは、ビタミンCやフラボノイドなど抗酸化作用のある成分が豊富で、健やかな肌と髪を保つのに役立ちます。
ジュニパーベリーは、抗菌作用でも知られ、ニキビや吹き出物といった皮膚トラブルを緩和します。
ジュニパーの樹皮も、さまざまな皮膚の病気を改善する働きがあります。
ジュニパーの枝は、抗炎症作用とデトックス効果で知られ、セルライトの減少させるといわれています。
ジュニパーの肌と髪への使い方
ジュニパーは、実(ジュニパーベリー)のドライハーブ、精油という形で使うことができます。
ジュニパーベリーのドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
スキンケア
ニキビを改善します。
ボディケア
足のむくみを緩和します。
ジュニパーの効能
ジュニパーは、実(ジュニパーベリー)、枝、樹皮などすべての部位に、抗炎症、尿路消毒、利尿、月経促進、発汗、駆風、消化不良改善といった作用があります。
ジュニパーベリーは、抗酸化。神経保護、抗糖尿病、肝臓保護、抗菌、抗真菌、消化器官のトラブル改善、抗炎症、鎮痛、止血作用で知られます。
枝は、急性および慢性膀胱炎、膀胱カタルの改善が期待できます。
また、樹皮は、咳、喘息、気管支の感染、関節炎、糖尿病、膀胱疾患、慢性腎盂腎炎、腹部疾患、皮膚病に有効です。
ジュニパーは老廃物を排出する働きにすぐれ、関節痛やリュウマチ、痛風などの症状を緩和します。