英語でコルツフットという名称のフキタンポポは、昔から薬用植物として知られていました。
3世紀ごろ成立したといわれる中国の最も古い薬物書『神農本草経』に款冬花(フキタンポポ)が記述されており、その後に刊行された中国の医学書にも記されています。
中国では、慢性の咳、血痰症候群、喉の痛み、寒気、発熱、糖尿病と喘ぎ呼吸の治療に使われてきました。
喘息や頭痛、咳に効く漢方薬の射干麻黄湯(やかんまおうとう)にも、款冬花(フキタンポポ)が入っています。
フキタンポポは、さまざまな地域の伝統医療で、咳の治療に用いられてきました。
米国では、フキタンポポの根を、咳、百日咳、湿った咳の緩和に使い、ノルウェイでは、乾燥させた葉を咳や胸の不調を解消するハーブティーとして飲むそうです。
中国ではフキタンポポの花のつぼみを乾燥させて生薬としますが、ヨーロッパでは、葉を乾燥させたドライハーブを、呼吸器官や消化器官の不調、傷、やけど、目の炎症、尿道のトラブルの症状緩和に用います。
フキタンポポはまた、ネガティブな感情を取り除く働きがあるともいわれています。
フキタンポポの特徴
アジア、ヨーロッパ、北アフリカが原産といわれますが、現在では世界中で栽培されています。
コルツフットは、熱帯および温暖な地域に自生します。川岸、道端、空き地、畑など、湿った粘土質の土地にみられます。
フキタンポポは、30cm程の草丈になる、曲がりくねった根茎をもつ多年草です。葉はハート形でふちにギザギザの切りこみが入っていて、裏は白みがかり、表は明るい緑色です。
たんぽぽのような明るい黄色い花が茎の先端に咲きます。
学名:Tussilago farfara
科名:キク科
別名:コルツフット
使用部位:葉、花、根
開花時期:3月~4月
収穫時期:開花中
有効成分:
セスキテルペン
トリテルペノイド
フラボノイド
フェノール類(フェノール酸)
クロモン
アルカノイド
精油
フキタンポポの肌と髪への美容効果
フキタンポポは、抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、収れん作用にすぐれ、スキンケアにも適しています。
フキタンポポのインフュージョン(浸剤)のローションは、シワを薄くする効果があるといわれ、オイリー肌用の保湿ローションとして日常のお手入れにも向いています。
発疹ややけどの症状を鎮め、皮膚のトラブルや頭部白癬にも有効といわれています。
ヘアケアにも適し、髪の毛に刺激を与え、フケを予防します。
さらに、フキタンポポは、過剰発汗を抑える働きがあるといわれ、葉のインフュージョンで足浴するとことができます
フキタンポポの生の葉は、化膿した傷の手当に使われます。また、葉をつぶして一晩水に浸したものを湿布すると、傷の治りが早まるといいます。
フキタンポポの肌と髪への使い方
フキタンポポは、生かドライハーブ、精油という形で使うことができます。
フキタンポポのドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンを肌や髪につけたりして、使うことができます。
フキタンポポのインフュージョンは、日常的な化粧水になります。
スキンケア
オイリー肌を改善して保湿します。
ボディケア
過剰な汗を抑えます。
フキタンポポの効能
フキタンポポは、フラボノイドやフェノール類など、抗酸化作用や抗炎症作用のある成分を含み、さまざまな効能が科学的に認められています。
粘液保護作用や鎮咳作用で知られ、咳や鼻水、気管支炎、痰など、呼吸器系の不調を改善するのに有効です。
抗菌作用、抗ウイルス作用にすぐれ、免疫力を高める働きもあり、風邪やインフルエンザなどの予防に役立ちます。
糖尿病のリスクを減少させ、肥満を防ぐ効果も期待できます。
ただし、肝毒性のあるピロリジジンアルカロイドという成分が含まれているので、使用には注意が必要です。
※妊娠中・授乳中の人、キク科アレルギーの人は使用を避けてください。