ブラックカラントはフランス語でカシスと呼び、アジアとヨーロッパの伝統医薬として長い歴史があります。
果実(皮、果肉、種)や葉など、植物のあらゆる部分を利用できます。
カシスの葉で作られたハーブティーは、伝統的に泌尿器系の不調や軽度の関節痛を和らげるために使用されてきました。
4月~6月に収穫される黒い実はオレンジの4倍のビタミンCが含まれるといわれ、ミネラル類も豊富で、感染への抵抗力を高め、出血を補うといわれています。
この果実は美味で、ジュース、ジャム、ゼリーなどに加工したり、生で食べたりし、濃い紫色の染料を作るためによく使用されます。
強い香りの葉は、スープの風味づけに用いられます。
伝統医学でよく使用される、ポリフェノールが豊富なブラックカラントの葉の抽出物は、現代の研究で、抗炎症、抗酸化、抗菌作用が証明されています。
また、果実と種子、葉に含まれるアントシアニンは、その効能について多くの研究がされています。
ブラックカラントの特徴
中央ヨーロッパと中央アジアが原産といわれ、16世紀末にフランスにもたらされました。ブラックカラントの果実の収穫のためにヨーロッパ中で栽培されています。
ブラックカラントは、高さ1.5mほどの落葉低木で、茎は毛でおおわれ、非対称的な葉をつけます。花の外側は緑色だが、内側はオレンジ色で、房になって咲きます。濃い紫色でほろ苦い種子を含む果実は、直径約1cmまで成長することがあります。
学名:Ribes nigrum L.
科名:ユキノシタ科
使用部位;葉、実、根、茎
開花時期:4月~5月
収穫時期:6月末から8月上旬
有効成分:
ビタミン(特にビタミンC)<果実>
ミネラル
アントシアニン
プロアントシアニジン
γ-リノレン酸 <オイル>
フラボノール(ケルセチン、ケンフェロール)<葉>
フェノール類
ブラックカラントの肌と髪への美容効果
ブラックカラントの葉には、フラボノール(フラボノイドの一種)のケルセチンとケンフェロールが多く含まれ、皮膚疾患に有効です。ケルセチンとケンフェロールは、抗炎症作用に優れ、抗酸化、血行促進の作用もあります。
スキンケアとしては、皮膚の炎症を抑え、きめを整えて輝きのある健やかな肌を保つのに役立ちます。
果肉をつぶしてパックのように顔につけると、血行が促進され、皮脂の分泌を抑えます。
また、ブラックカラントの葉は、創傷治癒作用を示し、生のまま傷口に湿布すると、傷の癒着が早まるといわれています。
根はアトピー性皮膚炎を軽減する効果が報告されています。
種子から抽出したブラックカラントシードオイルは、オメガ6脂肪酸のγ-リノレン酸、アントシアニンが豊富で、乾燥、かゆみ、ヒリヒリを抑え、乾癬を改善するとみられ、化粧品によく使用されます。
ブラックカラントに含まれるアントシアニンは、視力の回復など目の機能を向上させ、ドライアイを和らげるなど目の健康を保つのに役立ちます。
眼の下のクマや腫れを解消する働きにもすぐれています。
ブラックカラントの肌と髪への使い方
ブラックカラントは、果実と葉の部分の生かドライハーブ、精油という形で使うことができます。
ブラックカラントの葉の生かドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
スキンケア
リフレッシュする効果が期待できます
ブラックカラントの効能
ブラックカラントは、抗酸化、抗炎症、抗菌、抗ウイルス、抗ガン、神経保護、血行促進、免疫機能促進、腸および腎臓の健康促進、抗毒、殺虫といった作用が認められています。
生活習慣病のリスクを減らす効果が期待でき、高血圧、心血管関連疾患、腫瘍性疾患、神経変性疾患、腎結石症、糖尿病性神経障害などに有効です。
免疫不適応症および免疫力の低下、甲状腺機能の低下を抑制するのに役立ち、抹消血管の循環を促進し、毛細血管のトラブルを改善します。
ブラックカラントの葉はフラボノイドのルチンを含むため、リウマチ性疾患の治療にも適しています。
葉のインフュージョン(浸剤)は、洗浄、利尿、発汗、消化促進、胃痛の鎮静といった作用で知られています。
また、ブラックカラントシードオイルは、炎症を緩和し、痛み、こり、損傷といった関節と筋肉の症状を軽減します。
さらに、ブラックカラントは植物エストロゲンを含み、更年期の症状を緩和させるともいわれています。更年期の症状のひとつ、関節痛やリウマチをやわらげる効果が期待できます。