モロッコ人はダンスが大好き!各地特有の踊りが

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モロッコ人は、とにかく踊るのが大好きです。

家族団らんの時間も、突然ダンスで盛り上がったりします。
ある日の夕食の後、みなでテレビを見ていたら、民族ダンスのショー番組がはじまりました。
すると、音楽に合わせて、男性たちがテーブルを叩いてリズムをとったら、おばあさんがムクッと立ち上がり、陽気に踊り出しました。
それにつられて、次々と女性たちが踊りに加わります。
居間がダンスホールに早変わりし、派手に大騒ぎ。
このようなことは、日常茶飯事らしいのです。

モロッコの踊りの種類は多く、各地に特有の踊りが存在します。

地方では、屋外で伝統的なフォークダンスを披露し、本来のモロッコダンスを見るだけでなく、踊りの輪の中に加わることもできます。

ダンスは祭りと深く結びついていて、呪術の意味も兼ねています。

ムサンや家族の祝い事、日々の仕事の合間や、豊作の祈り、雨乞いなど、あらゆるときに踊ります。

ダンスは感情を表現する最高の方法であり、女性が自己主張をする絶好の機会です。

また、モロッコの踊りの中には、瞑想と陶酔をもたらすものもあります。

モロッコの伝統的な踊り

アワッシュは、高アトラス山脈とダデス渓谷に暮らすベルベル人の男女による集団の踊りです。

カスバの中庭で夜踊るときは、ベルベルのカーペットを飾り、燃える火のかすかな光を囲むように、夜が明けるまで踊り続けます。

カラフルな衣装を身に着けた女性たちがまず、男性の周りに円を作ります。

そして、吟唱や前奏が流れると、女性たちははっきりした手拍子でリズムを取りながら、単調な歌を歌います。次に、踊り手たちは、メロディーに合わせて二列に並びます。

ワルザザート地方では、タウリルト、テルート、ティフトゥト、タザリンのアイト・アッタの4つの踊りが有名です。

アヒドゥスは、中アトラスのケニフラやウルメス地方の人々、ベルベルのイマジゲン族や、高アトラスのアイト・ハッディドゥーやアイト・ブーゲメズの人々の踊りです。

男女が歌いながら踊り、円になって、軽くバランスをとりながら、前後左右に動きます。

中アトラスでは、女性が派手な色の衣装で着飾ります。

ゲドラは、最南部の盆地地方の踊りです。

グールミン族“青の女性たち”による神秘的な秘伝の踊りで、最初はとてもゆっくりしたリズムですが、次第に激しさを増し、最後には熱狂的な動きになります。

踊っているうちにヴェールがほどけるほど、頭や胸、手を複雑に動かします。

伴奏には、ゲドラという鍋の形をした陶器に革を張り、装飾をほどこした太鼓を使います。

グワナの由来は不明ですが、16世紀のアフマド・エル・マンスールの時代、南部の盆地地方やマラケシュのハウズ平野、エッサウィラでの農作業のために雇われたスーダンの奴隷の子孫の一部の人たちを指すといわれています。

もしくは、17世紀にムーレイ・イスマイルの支配下にあったギニア出身者、または、18世紀末にムハンマド・ベン・アブデラがエッサウィラを建設するためにスーダンから集めた黒人であるともいわれています。

ここでいうスーダンは、現在のモーリタニア、セネガル、ギニア、マリ、ナイジェリアのことです。

このように、アフリカから伝わった彼らの踊りがグワナで、特に、マラケシュのジャマ・エル・フナ広場や、祭りのときに踊ることで知られています。

太鼓と鉄製のカスタネットを奏で、ダンスでありながら、その動きはアクロバット的です。リズムに合わせてジャンプをしたり、鈴をならしたり、優れた身体能力を発揮して踊ります。

この踊りの本質はトランス状態になることであり、単に見せるためのダンスではないといいます。

グワナは、踊りと儀式という2つの要素を持っているのです。

グワナの本物の儀式を見たければ、エッサウィラへ行くといいでしょう。

また、アンティ・アトラスのティズニットやタフロウト出身のアクロバット芸人たちは、緑と赤の衣装を身につけ、ジャマ・エル・フナ広場や世界中のサーカスで踊りを披露しています。

マラケシュでは毎年、モロッコ各地の民族ダンスを一堂に集めたフェスティバルが開催されます。

マラケシュでファンタジアショー

モロッコの伝統的な踊りやスペクタクルを見学できるのが、マラケシュから車で20分ほどのところにあるシェ・アリです。

料理と音楽、ダンス、そしてファンタジアというアクロバットショーと、モロッコのお祭りを短時間で楽しめます。

ファンタジアは、「気晴らし」を意味するラテン語ですが、19世紀はじめ、昔の戦いの再現した騎馬の芸に、この名がつけられました。

この騎馬芸ファンタジアは、バロウドと呼ばれる銃を身につけた騎士が馬術を披露する、モロッコの伝統的な豊作の祭りです。

20年前の1998年に行ったので、変わっているかもしれませんが、当時の様子を紹介します。

シェ・アリの入口ではラクダがお出迎え。建物もアラビアンナイト風です。

11ヘクタールもの敷地には、中央の騎馬用の広大な広場を取り囲むように、個室レストランや土産屋が並んでいます。

客がモロッコ料理に舌鼓を打っているところに、それぞれの民族衣装に身を包んだグループが、踊り歌いながら個室を回ります。

いずれの衣装もカラフルで、民族の伝統音楽に合わせて踊り、みな楽しそう。

踊りが終わると、客は広場に集まります。

先ほどのダンサーや楽団、籠に乗った女性たちが行進し、いっそう華やかに。

いよいよメインイベントの騎馬のスペクタクルがスタートします。

砂埃がたち、迫力満点です。

キラキラの金と銀の立派な馬具をつけた馬の上で、アクロバットを披露する男性も。

最後は、魔法のじゅうたんに乗ったお姫さまが、空中を飛び、仕掛け花火が打ち上げられます。

(1998年2月)