レモンに似た香りのするレモンバーベナ、日本語でクマツヅラ、フランス語ではヴェルヴェンヌといいます。
モロッコでは、ルイーザと呼よばれ、お茶としてよく飲まれるなど、とても親しまれている植物のひとつです。
レモンバーベナは、悪魔を追い払い、あらゆる病気を治す魔法の力を持つと信じられており、太古の昔から、神聖なハーブとして珍重されてきました。
世界中に広く分布している薬用植物で、伝統的な中国医学をはじめ、ヨーロッパ、アジア、北米などのさまざまな民間療法と現在の植物療法で一般的に使用されています。
バーベナ属は主にアメリカ大陸で古くからよく知られた薬用植物でした。ヨーロッパで公式に医学に登場したのは比較的最近のことで、2008年にヨーロッパ薬局方の著書に掲載されました。
現代の科学研究により、レモンバーベナには、抗酸化、抗炎、去痰、鎮静、抗うつ、創傷治癒といった効能があることが確認されています。
爽やかな香りのレモンバーベナは、美容製品にも多く用いられています。
レモンバーベナの特徴
レモンバーベナは、ヨーロッパ、アメリカ大陸、北および中央アフリカ、アジア、オーストラリアなど、世界中の主に温帯気候帯で生育します。ヨーロッパでは、地中海地域でよく見られます。
野原、道端、荒れ地、貯水池の近くなど、日当たりのよく、水分を十分保持した土地に生育します。
レモンバーベナは、高さ75cmから1mまで成長する多年生草本植物です。上部で分枝し、断面が四角形の木質の茎は粗い毛で覆われています。上部の葉は鋸歯状で、向かい合って配置されます。夏の間、小さな淡いライラック色の花を咲かせます。
学名:Verbena officinalis
科名:クマツヅラ科
使用部位:全草
開花時期:6~9月
収穫時期:7~10月
有効成分:
イリドイド
フェニルプロパノイド配糖体
フェノール酸
フラボノイド
精油
レモンバーベナの肌と髪への美容効果
抗酸化作用や創傷治癒促進作用があるレモンバーベナは、スキンケアやヘアケアにもよく用いられます。
スキンケアでは、抗菌および抗炎症作用があることから、肌の荒れや傷を癒す化粧水として適しています。
また、口腔および喉の炎症、歯肉炎の緩和にも役立ちます。
筋肉のけいれんの場合には、局所的に湿布するという方法で使用できます。
レモンバーベナの肌と髪への使い方
レモンバーベナは、葉の部分の生かドライハーブ、精油という形で使うことができます。
レモンバーベナの葉の生かドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンや、オイルに漬けたインフューズドオイルを肌や髪につけたりして、使うことができます。
レモンバーベナの効能
レモンバーベナは、現在の研究において、抗酸化、抗菌、抗真菌、抗炎症、鎮痛、抗けいれん、抗不安、鎮静、睡眠促進、神経保護、抗うつ効果、心血管、抗増殖および抗ガン、創傷治癒促進、胃の保護、害虫による感染症といった効能が認められています。
主に喉や副鼻腔の炎症、風邪、発熱、胸部圧迫感、気管支炎、喘息、百日咳、副鼻腔炎などの上気道疾患の治療に使用されます。
また、尿路結石や尿路感染症などの尿路疾患の治療にも役立ち、利尿作用があることも知られています。
婦人科系の不調にも有効で、レモンバーベナは月経障害の治療に使用され、授乳中の母乳の分泌を促進するともいわれています。
うつ病、不眠症、ストレス、不安、慢性疲労症候群、神経疲労、性的神経症、頭痛などの神経系疾患に適用されます。
腹部疝痛、黄疸、胆嚢炎症、下痢、赤腸、腹痛、腸内寄生虫などの消化管疾患の治療にも使用されます。
