「モロッコ菓子にはオレンジフラワーウォーター(オレンジ花水)が欠かせない。春にはオレンジの花にあふれるんだよ」と知り合いのモロッコ人が教えてくれました。
ここでいうオレンジは、ビターオレンジのこと。
モロッコをはじめ北アフリカの人々は、幸運をもたらすといわれているビターオレンジの花をつねに周りにおいています。
ビターオレンジの花について
ビターオレンジ(学名:Citrus aurantium)はミカン科の植物で、ダイダイ、プチグレンという別名もあります。
アジアの熱帯地域やインドが原産で、10世紀ごろ、地中海沿岸にもたらされたといわれ、13世紀から栽培されているそうです。
現在では、北アフリカ、スペイン、南ヨーロッパで多く栽培されています。
6月~9月が開花時期で、この期間、葉と花が収穫されます。
アルジェリアでは、春の到来を祝い、ビターオレンジの花をベースにしたジャム作りを家族で楽しむそうです。
ビターオレンジの花、砂糖とレモン汁だけのジャムは、おいしいだけでなく、体内の老廃物を排除し、元気を回復する効果もあるそうです。
ビターオレンジの花の効能は数多く、殺菌、抗真菌、水分補給、鎮静といった作用で知られています。
血行促進作用や傷を癒す働きも。
また、眠りを誘う効果もあり、北アフリカには、子どもがぐっすり眠れるように、乾燥したオレンジの花を入れたポプリを子ども部屋に置く習慣もあるそうです。
フレッシュな軽い花の香りが人気で、クリームやフェイスローション、シャンプーなど、さまざまな美容製品に用いられています。
オレンジフラワーウォーターとは?
ビターオレンジの花からネロリという精油を抽出するときにできる蒸留水がオレンジ花水(オレンジフラワーウォーター)です。
ネロリはとても高価ですが、オレンジフラワーウォーターは日常的に使いやすい価格といえます。
北アフリカでは、オレンジフラワーウォーターで牛乳を香りづけし、乳児の身体を拭く習慣があるそうです。
食後の居間にふりまいたり、手を洗うときに使われたり、宗教的な儀式にも登場します。
また、お菓子をはじめ、まざまな料理や飲み物の香りづけにも用いられます。
モロッコでは食用が一般的で、ジュースのようにガラス瓶に入ったオレンジフラワーウォーターが、スーク(市場)で売っていました。
オレンジフラワーウォーターの美容効果
オレンジフラワーウォーターは、肌の疲れを癒す働きがあり、日常的にフェイスローションとして使用できます。
あらゆる肌に適していますが、なかでも、加齢肌や敏感肌におすすめです。
ヘアケアにも適していて、抜け毛を防ぎ、弱った髪を丈夫にし、なめらかさと輝きをよみがえらせます。
オレンジフラワーウォーターには次のような効能があります。
保湿効果
潤いを与え、一日中フレッシュに保ってくれます。
炎症を鎮める
ヒリヒリする肌を落ち着かせ、なめらかにします。
シワを防ぐ
皮膚を若返らせ、引き締め、シワを防ぎます。
心身のリラックス
心と体の疲れを癒す働きがあり、ボディケアにも向いています。

