和名ではヨーロッパナラと呼ばれるオーク(イングリッシュオーク)は、何世紀にもわたってイングランドの主要な森林樹木です。
ワイン樽に使われるオーク品種のひとつで、歴史的に人間の食生活と密接にかかわってきました。
属名の「Quercus」は、ケルト語で「細かい」を意味する「quer」と「木」を意味する「cuea」に由来しています。
オークは神聖な木と信じられており、昔からの伝説で、オークの樹皮をなでると、エネルギーとパワーが伝わり、身体にしみこむといわれています。
古代から、オークの樹皮はヨーロッパの民間医学で使われてきました。
16世紀のドイツ植物学者レオンハルト・フックスの薬草書には、オークの樹皮には収れん作用と止血作用があり、傷の治療、潰瘍や婦人科疾患に使用できることが記されています。
オークの樹皮は、皮膚病、湿疹、かゆみ、足の汗、やけど、痔を緩和するための入浴剤として使われてきました。
また、伝統医学では、口内炎、胸やけ、下痢などの治療に用いられてきました。
オークの有効成分と効能のいくつかは、科学的に明らかになっています。
美容の分野では、入浴製品、デオドラント、石けん、ローションやクリーム、口腔衛生製品に配合されています。
オークの特徴
イギリス、ヨーロッパ大陸、地中海沿岸諸国、シリア、北アフリカなど、温暖な気候の地域でみられます。山のふもとや林のなかで育ちます。
オークは丈夫でまっすぐ伸び、高さ45mに達する落葉樹です。なめらかなパールグレーかパールグリーンの樹皮は、グレーがかった茶色になり、その後、黒っぽく変化し、さらに年月が経つとひび割れます。
たくましい枝は曲がって広がり、深く切りこみが入った大きな葉をつけます。雄花は数珠のように長さ2~8cmの垂れ下がった尾状花序を形成し 、雌花は小さいまっすぐな穂になって、もしくは単独で咲きます。
実は長さ約1~3cmのドングリで、緑色から茶色の色合いになります。
学名:Quercus robur.
科名:ブナ科
別名:ヨーロッパナラ、ドングリの木
使用部位:樹皮、葉、実
開花時期:4月~5月
収穫時期:葉は開花中、樹皮は3月
有効成分(樹皮):
エラジタンニン
プロアントシアニジン
フェノール類(没食子酸。エラグ酸、プロトカテキ酸)
フラボノイド(カテキン)
オークの肌と髪への美容効果
オークは抗炎症作用や収れん作用があり、ニキビ、湿疹、赤い発疹といった皮膚トラブルを緩和するのに役立ちます。
抗酸化作用にすぐれ、皮膚細胞の損傷を防ぎ、肌のターンオーバーを促進します。
オークの樹皮は、足の過剰な汗を抑える働きでも知られています。
また、強壮作用があり、心身の衰弱に有効で、疲労を癒し、気分を明るくします。
オークの肌と髪への使い方
オークは、樹皮のドライハーブという形で使うことができます。
オークの樹皮のドライハーブは、ハーブティーとして飲んだり、熱湯で煎じたインフュージョンを肌や髪につけたりして、使うことができます。
オークの樹皮のインフュージョンは、入浴剤になります。
ボディケア
過剰な発汗を抑えます。
ヘルスケア
口内炎と歯肉炎を緩和します。
オークの効能
オークの樹皮は、抗酸化、抗炎症、抗菌、抗ウイルス、収れん、止血といった作用が認められています。
オークの樹皮に含まれるエラジタンニンは、心血管疾患のリスクを軽減する働きがあります。
オークは、喉の痛み、痔、下痢、静脈瘤、リンパ浮腫、寝汗や発熱、泌尿器系および腎臓系の疾患、糖尿病に有効だといわれています。
また、オークは刺激作用があり、疲労の軽減、睡眠の質の向上、気分の改善させる働きがあり、ストレスに苦しむ人に役立ちます。
病気や手術後の回復を早め、スポーツのパフォーマンスを高める作用も期待できます。