認知症のお年寄りにはつい過保護になってしまう傾向がありますが、手をかけ過ぎない努力も必要です。お年寄りが自分自身でできることは、できるだけ本人にまかせるようにします。
それは能力の維持に役立ち、認知症の進行を防ぐことにもつながります。
トイレや着替えなど、自分の身の回りのことから、簡単な家事などできる範囲で本人にやってもらうようにしましょう。
たとえば、日常生活では、洗濯物をたたむことや玄関などの掃除、植物の水やり、草取り、食事の後片付けなど、家事の中から本人にできそうなものをしてもらうようにします。
本人まかせで放っておくというのではなくて、もちろん見守っていくことが大切です。まかせたことができたら感謝し、ほめるようにすると、お年寄りの自尊心も満足でき、家族のために役立っているという喜びもあります。
家族が手をかけないことで、「冷たくなった」とお年寄りに不満に思われるといけませんので、声をかけたり、いっしょにそれを行ったりして、お年寄りを忘れていないことを示すようにするとよいでしょう。
アロマテラピーを自然に取り入れるには、高齢者が日々行う家事のなかで、香りを習慣づける方法がおすすめです。
洗濯で……
フランスでは、アイロンの霧吹きの用にラベンダーウォーターを使ったりして、香りに親しんでいます。
洗濯のすすぎのときにラベンダーといった精油を1滴入れてみましょう。高齢者が洗濯物をたたむときに、ほのかに香らせることができます。

また、カモミールやユーカリには花粉予防の効果が期待できます。


掃除で……
掃除機のゴミパックに精油を1滴つけると、排気に芳しい香りが漂います。
精油を1滴落したティッシュペーパーを掃除機に吸わせる方法もあります。
掃除に向いている精油
スイートオレンジ

ペパーミント

ラベンダー

グレープフルーツ
サイプレス
シダーウッド
レモン
レモングラス
キッチンで……
生ゴミの匂いも気になるものです。夏場は特に、防腐作用のある精油入りスプレーをまくのもいいでしょう。
消臭しながらアロマテラピーができ、一石二鳥です。
防腐効果のある精油
クローブ

シナモン

ジュニパー

タイム

フランキンセンス(乳香)

ペパーミント
オレガノ
カモミール
カユプテ
キャラウェイ
セイボリー
ティートリー
ニアウリ
ベルガモット
ユーカリ
ラベンダー
レモン
消臭対策に自然の香り
尿失禁・便失禁は最初はなにかがきっかけとなっておこることが多いようです。温かい心で対処をすることが大切です。
失禁の場合は、認知症だけが原因とはかぎりません。
運動能力が衰えているためにトイレに行くまでにもたついて間に合わなかった、洋服がうまく脱げなかった、トイレの場所がわからなかった、膀胱の筋肉が衰えて尿がもれてしまった、なども考えられます。
また、ストレスを感じていたり、不満に思っていたり、不安だったりすることが原因の場合もあります。
体調が悪くても、尿失禁を起こすことがありますので、「病気ではないか」ということも確かめてみましょう。
失禁したときは、あわてず騒がず落ち着いて対処することが重要です。尿失禁・便失禁をしてしまったお年寄り本人もショックが大きいので、このときに大騒ぎをすると、認知症の症状がすすむことにもなりかねません。さりげなく後始末をし、責めることのないようにしましょう。
不快な匂いは、それだけで気分を滅入らせてしまいます。介護をするうえで、尿臭は最大の敵ともいえます。
さらに、老人臭と呼ばれる体臭や便といった匂いも部屋にこもりがちで、がまんしているとお互いに憂鬱になり、ストレスがたまってしまいます。
海外の介護施設のなかには、一日中アロマポットで香気を漂わせ、消臭対策をしているところもあります。アロマランプを上手に使い、室内の空気を新鮮に保つのもおすすめです。
芳香浴は部屋の消臭としてだけでなく、ほとんどの精油には殺菌作用や抗ウイルス作用をともなっているので、空気を清浄し、感染を防いでくれます。
霧吹きに水と精油を入れ、気になるときにスプレーをひと吹きすれば、イヤな匂いが消えるだけでなく、気分がすっきりするはずです。
部屋の空気殺菌に適した精油
グレープフルーツ
ジュニパー
ユーカリ
ラベンダー